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漢方コラム

古典からみる今年の気候

漢方コラム

 

「こころと身体が追いつかない」

 

今年のこれまでの変わりやすい気候のため、多くの方からそのような言葉をうかがいました。

 

こころの不調を感じる方もいらっしゃいます。

 

暑い日があったかと思うと翌日は寒い、といったように

日替わりで急変することもしばしばでしたから、無理もありません。

 

 

漢方の世界では、その年の気候や人が受ける影響を古典の記載から学ぶことができます。「素問」の「運気論」と呼ばれる箇所に記載されています。

 

その「運気論」を参考にして

「今年の運気 その1~六気からみる天候と体調~」

https://www.wakakusa-kanpou.com/archives/2203

というコラムを今年の一月に掲載しております。

 

ここにきて「やはり今年の天候が気になる!」というお声をいただきましたので、もう一度確認してみたいと思います。

 

運気の基本

 

その昔の賢人は、天や自然をよく観察して、その規則性を見出しました。

 

人は、天地の影響を受けているので、天地の巡りの規則性や人に対する影響を知ることで健康維持に役立てることができます。 

 

ここで、「運気」というと、「ラッキー」かどうか、という意味と思われる方もいるかもしれませんが、ここでいう「運気」とは、天地の気の運行のことです。

 

今年の「運気」について、その根拠も併せて記載したいと思います。

とはいえ、ここで用いられる用語は、あまり馴染みがないかもしれません。それでも「そういうもの」と受け入れていただけるとありがたいです。

 

まずは「運気」の基本からみてみましょう。

 

天地の運行は「五運」と「六気」の組み合わせによる 

 

天地の運行は、「五運」と「六気」というものの組み合わせから求められます。

 

五運

 

「五運」は、「木・火・土・金・水」が、それぞれ一年ごとにを順々に支配してめぐり、巡り終えるとはじめにかえり、際限なくこの循環をくりかえします。地の五運は五年で一周します。 

 

 

また、五運では、一年ごとに「太過」と「不及」が交互にやってきます。

 

「太過」は行き過ぎること、季節が7~10日ほど早くやってきます。

 

「不及」は足らないこと、季節が7~10日ほど遅くやってきます。

 

例えば「木運の太過」の翌年は「火運の不及」、その翌年は、「土運の太過」といった具合です。  

 

六気

 

の気は「六気」あり、六年で一周します。 

天の気は、上と下があり、上は司天(してん)、下は在泉(ざいせん)といいます。

「六気」とは、厥陰・少陰・太陰・少陽・陽明・太陽のことで、これらが、司天と在泉(天と地)として一定のペアとなって一年ごとに巡ります。

 

天の六気は、厥陰→少陰→太陰→少陽→陽明→太陽の順にめぐります。

 

ここで、

厥陰は「風」

少陰は「熱」

太陰は「湿」

少陽は「火」

陽明は「燥」

太陽は「寒」

 

を意味します。

 

(これがポイントになります。ここで、なんで「太陽」が「寒」?と思うと混乱するので、「そのように表すもの」と覚えてしまう方がよさそうです)。

 

 

そして、人は天と地の間にいて、「五運」と「六気」のめぐりの影響を受けている、と考えます。 

 

つまり、地では、木→火→土→金→水の順で一年ごとに、それも太過と不及が一年ごとに交互にめぐり

 

そして、天は、上述のように厥陰→少陰→太陰→少陽→陽明→太陽の順に一年ごとにめぐり、

 

天と地の間にいる人は、これらの影響をうけている、というわけです。

 

この「五運」と「六気」を組み合わせると、30通りとなります。  

 

六気のそれぞれの特徴

 

六気は、一年を六つにわけて特徴が説明されます。その起点は、大寒、今年は1月20日でした。

 

初の気:大寒(121日頃)~春分(3月21日頃) 

二の気:春分(3月21日頃)~小満(5月22日頃) 

三の気:小満(5月22日頃)~大暑(723日頃) 

四の気:大暑(7月23日頃)~秋分(9月24日頃) 

五の気:秋分(9月24日頃)~小雪(1123日頃) 

終の気:小雪(1123日頃)~大寒(121日頃) 

 

毎年、春夏秋冬は、だいたい決まった気候、例えば冬は寒くて、春は温暖、夏は暑くて、秋は涼しくなってくる、ということは感覚的に実感していると思います。ここでは、一の気から終の気まで毎年決まっためぐりを「主気」。その年により変わる天の運行を「客気」といいます。 

 

主気と客気で表される「六気」と、地の運行の「五運」を勘案して、その年の気候が予測されます。

 

今年の運気

 

今年の干支は、甲辰(きのえたつ)です。 

 

甲(きのえ)の年の「五運」は、「土運太過(どうんたいか)」 

辰(たつ)の年の「六気」は、「太陽司天(たいようしてん)」と決まっています。

 

六気の太陽司天の年は、太陰在泉となります。このペアも決まっています。

太陽司天は「寒」、太陰在泉は「湿」を意味します。

司天の気は、主に一年の前半の天気、在泉の気は、一年の後半を主ります。

つまり、今年の前半は「寒」、今年の後半は「湿」となります。

 

土運太過について

土運大過の年の特徴については、以前のコラムをご参照いただければと思います。

https://www.wakakusa-kanpou.com/archives/2277

簡単にいうと、土運が強くなるため、湿雨がほしいままにゆきわたり、自然界では水氣がおかされます。人体では、腎が剋され、手足がひえあがり、気分がうっとうしく、身体がだるいなどの症状を起こしやすくなると考えられます。

    

 

 

今年の気候と人がうける影響

 

ここまで述べたように、今年は、「太陽司天・太陰在泉」で「土運太過」です。

 

今年の前半は比較的涼気に覆われ、五月の頃に熱気が現れ、このころに雨がふりだし、湿気の作用が始まると予測されます。

 

また、今年は、地震・突風・豪雨の変があり、病は、湿気にあてられて関節その他が痛み・腰から下がおもくだるい、湿・下重の年となる、と予測されます。

 

そして、人は、寒気と湿気の邪気にあてられ、肌肉が萎えて痩せてきたり、足が萎えて不自由になったり、あるいは下痢をしたり、血があふれて上部や下部の孔から漏れ出る病にかかりやすくなる、と考えらます。

 

~初の気(1月下旬から3月下旬)の頃~

前年の影響で異常に温かで、草木は早く萌えでる。(因みに、前年は陽明司天(燥)、少陰在泉(熱)で暑さが厳しかったです)

人々は、冬に寒気にあてられてすぐ発病することなく、春の温暖の陽気に誘発されておこる、さむけを伴わない熱病にかかり、体が熱し、頭痛、嘔吐あるいは皮膚病を生じやすくなる(主気:厥陰(風) 客気:少陽(火)) 

 

~二の気(3月下旬から5月下旬)の頃~

だんだんと暖かになるはずなのに、涼気にそこなわれ、伸び始めた草木も涼気にあてられるような気候になることが多くなる。

人々は、陽気が中にとじこめられて、胃腸がいっぱいにつまって張る状態を起こしやすい。(主気:少陰(熱) 客気:陽明(燥)) 

 

~三の気(5月下旬から7月下旬)の頃~

冷たい雨が降る。

人々は皮膚のきめが閉じるために熱が中にこもり、はれものを生じたり、下痢をしたり、心臓に熱がこもったようにもやもやしたり、目がくらんで胸がくるしくなったりする病にかかりやすい。(主気:少陽(火) 客気:太陽(寒)) 

 

~四の気(7月下旬から9月下旬)の頃~

風と湿気が争って、風が雨をともなってくる。

人々は体表に熱をもって、はあはあと呼吸が浅くなり、また肌肉が萎えて痩せ、足が萎え、あるいは血のまじった粘液便を下すやまいにかかりやすくなる。(主気:太陰(湿) 客気:厥陰(風)) 

 

~五の気(9月下旬から11月下旬)の頃~

客気の少陰の熱気がやってきて、陽気がふたたび強くなり、草木は成長し、成熟する。

人々は安泰で病にはかかりにくい気候。(主気:陽明(燥) 客気は少陰(熱)) 

 

~終の気(11月下旬から翌1月下旬)の頃~

太陰の湿が作用すると、陰の寒気が天空をごおらせ、強い寒さをともなった風が吹く。

人々はひどく損なわれる。冬時の養生をまもる必要がある。(主気:太陽(寒) 客気:太陰(湿)) 

(参考文献:「運気 新釈 小曾戸丈夫著 たにぐち書店」) 

 

さいごに

 

運気の基本と今年の天候や人に対する影響などをチェックして参りました。

 

昔の賢人は、五運と六気として規則性を見いだされたわけですが、あくまで便宜上このようにされているわけで、100に分類しても十分に説明できるものではない、とも述べられています。

 

昨今は、地球温暖化の影響がどこまであるのか、未知な部分もあります。

 

それでも、先人の知恵を受けて、ある程度予測し心づもりをしておけると良いですね。

 

5月5日に立夏となり、季節は夏に入ってきました。

 

どうか健やかにお過ごしくださいね。 

 

 


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【この記事の著者】若草漢方薬局 店主 吉田淳子 
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