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漢方コラム

メンタルの不調に「葦(アシ)」の話~イソップ童話から~

漢方コラム

 

「春の陽気についていけない…」

「なにをやっても自信が持てない…」

 

春のせいなのか、それとも年中なのか

自身のメンタルの扱いにくさを感じます。 

 

心の問題は、永遠の課題かもしれません。

 

今回はイソップ童話の「樫(カシ)の木と葦(アシ)」のお話から。

葦(アシ)は水辺に生える丈の長いイネ科の植物です。

 

 葦(アシ)

2022年10月30日 日大植物園にて

 

「葦(アシ)」のように

 

イソップ童話「樫の木と葦」のあらすじ

 

ほんの少しの風にもふ~わふわとそよぎ、首を垂れてしまう葦(アシ)。

そんなアシをみて、樫(カシ)の木は

 

「なんだ、情けない。オレはどんな風が来ても大丈夫だぞ!」

と威張っています。

 

ところが、ある時、大きな台風がやってきます。

 

アシは大風に吹かれて地面に這いつくばって、なんとか一晩やり過ごします。

一方、樫の木は、「なんだこれくらい」と踏ん張っていますが、台風が過ぎたあとに見てみると、樫の木は根元からバキバキッと折れて倒れていました。

 

ちょっと切ないですが、このお話は、色々な場面で比ゆ的に語られています。

 

葦のススメ?

 

イソップ童話のカシの木のように外側は強そうに見えても、予測できない思わぬタイミングで突然「バキッ」と折れてしまう…。
 

人の心の問題に照らしてみると、外側を強く見せて振舞ったり、一見充実しているように見せたり(いわゆるリア充?)していると、この「樫の木」のように、自分でも予期しないことで心が折れることがあります。

 

そして、一旦こころが折れてしまうと、立て直すのに苦労します。

 

ある精神科医は、この樫の木は、バキッと折れたその瞬間よりずっと前から「芯」の部分に、少しずつ空洞ができるなど、何らかの問題が積み重なっていたのかもしれない、と述べられていました。

 

自信のなさはどこから?

 

 

人はだれでも弱い部分を持っています。日々の営みの中で、家族のこと、仲間のこと、趣味の仲間、様々な人間関係の悩みがあります。 

 

また、仕事での能力、職場での立場、生活や将来への不安など…様々です。

 

そんな不安を抱えながら、必要以上に頑張って、自分を強く見せよう、良く見せようとしていると、予期せぬことでガクっと「樫の木」のように折れてしまうことがあります。

 

こういう状況の人は、心に本当は弱気があったり、自信のなさが少しずつ広がっていたのかもしれません。 

 

では、そんな「自信のなさ」の根源はどこにあるのでしょう。

 

それは、外側とのギャップに苦しんで生じているのだそうです。

 

頑張って認められたい、キラキラした自分への期待と、そうなることができない現実……。

 

確かに、ひとは、誰かに認められたい生き物かもしれませんね。

 

では、自分で、そういった「自信のなさ」「不安感」から抜け出すにはどうしたらよいのでしょうか。それは

 

ありのままを受け止めること

 

だそうです。

 

自分に期待をしすぎない。できないものはそのまま受け止め、適度な「あきらめ」をもつこと。

 

そして、ありのままを受け止めたら、そのうえで自分にできる範囲で目標を定めてみる。気楽に実績を積み重ねてみる。

 

そうしていると、その先に「明るく」「余裕」が生まれてくるのだそうです✨

 

辛いことがあったら、しなやかで柔軟な「葦」の姿をイメージしてみるといいかもしれませんね。

 

植物の葦って

 

実物の葦(アシ)は、譬えに使われるほど身近な植物なのでしょうね。

 


2022.10.30 船橋 日大植物園にて

 

アシ(葦)というと、ヨシ(葦)が思い浮かびますが、アシとヨシは同じもので、アシは悪しに繋がるのでヨシと言い換えたといわれています。漢字は、葦・蘆などの表記があります。

 

葦は、よしず、すのこ、すだれ、製紙原料に利用されるイネ科植物です。

 

漢方では、アシの根茎を「蘆根(ろこん)」、茎を「葦茎(いけい)」といいます。効能は、胃熱と肺熱を清します。 

 

荒木性次先生は「新古方薬嚢」に、「蘆根は主として救急薬として用ひらる。馬肉を食いて中毒し死ぬほどの苦しみをしている者を治するには、蘆根の煮汁と茶呑茶碗に一杯ほど吞ましむれば解す」とか、フグの毒にあたった時に飲むと立ちどころに治ると書かれています。 

 

 

人は考える葦である

 

アシというと、「人は考える葦である」というフランスの哲学者・パスカルの言葉も有名です。

 

これは人間の、自然の中における存在としてのか弱さと、思考する存在としての偉大さを言い表したものだそうです。

 

ここでも葦は、か弱い存在の代表のようですね。

気持ちの落ち込み・不安感を漢方薬で

 

気持ちを整えるために有用な漢方薬は色々あります。

 

考えられる状態をいくつか挙げてみます。

 

疲れていると不安感も

 

いつもはしっかりしているのに、忙しさが続いて身体が疲れていて不安感が生じている場合は、体に元気をつけることで改善を図ります。ごはんを食べて寝れば治る、という状況は超えてしまっていて、寝ても治らない、ずっとだるい、なんていう症状が発端になることがあります。

気のつまり・こもり

気が滞っていて、咽喉になにか張り付いているような気がする、咽喉に引っかかっているような感じがして咳をしたくなるような状態には、気を巡らす漢方薬を用います。「梅核気(ばいかくき)」(実際は何もないのに梅の種がひっかかっているような気がする)、「咽中炙臠」(のどに炙った肉がついているよう)ということが特徴的なサインのことがあります。

 

あせる・わさわさする 

 

外出先などで急に不安感に陥って居てもたってもいられなくなる。パニックになりそう。動悸が起きる。そんなときは気を緩めたり、気の衝き上げを下げるようにします。

 

不安感もあるのだけれど、緊張感が強くて生じる場合、漢方でいう「肝」(自律神経のバランス)を整えていくこともあります。

 

 

不安感・メンタルの不調に用いられる漢方薬

 

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)

苓桂甘棗湯(りょうけいかんそうとう)

桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)

四逆散(しぎゃくさん)

逍遥散(しょうようさん)

加味逍遙散(かみしょうようさん)

加味帰脾湯(かみきひとう)

香蘇散(こうそさん)

抑肝散(よくかんさん)

抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

 

麝香(ジャコウ)製剤(救心感応丸 氣)など

……

 

 

ここに挙げたものはほんの一例です。お身体の状態により様々な漢方薬が考えられますので、心当たりのある方は、是非ご相談ください。

 

おわりに

 

今回は、心の不安、自信のなさなどのメンタルについて「葦」にまつわる童話から記してみました。

 

だれにでも起こりうる不安や自信のなさが、ムクムクと顔をだしてきたら

 

「ありのまま、ありのまま」

 

と心に語り掛け、「葦」のことを思い浮かべてみると気持ちが楽になるかもしれませんね。
 

 

付録

 

余談ですが、万葉集には「葦」を詠んだ歌が51首もあるのだそうです。

 

「葦辺行く雁の翼を見るごとに君が帯ばしし投矢し思ほゆ」

  葦辺を行く雁の翼を見るたびに、あなたが腰に帯びていた投矢が思い出されます

 

「葦の葉に夕霧立ちて鴨が音の寒き夕し汝をば偲はむ」
  葦の葉に夕霧が立って、鴨の声が寒さを感じさせる夕べには、あなたを偲びます

 

 

葦って、昔から、ホントに身近だったのですねぇ。葦すごい☺

 

 

 
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【この記事の著者】若草漢方薬局 店主 吉田淳子 
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