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漢方コラム

駆瘀血剤の3つの生薬~子宮筋腫・子宮内膜症~

漢方コラム

 

子宮筋腫や子宮内膜症の方の月経過多、月経痛のお悩みの方は多くいらっしゃいます。 

 

子宮筋腫は良性腫瘍です。腫瘍が大きくなった場合は、手術が勧められることがあります。 

 

一方、漢方薬を服用することで閉経まで経過し、大過なく過ごされた方も少なくありません。

 

漢方治療の場合、同じ病名がついていたとしても、すべての人が同じわけではありませんので、患者さまの身体のバランスの乱れ、病気の原因と症状に対応した漢方薬を用います。 

 

漢方治療では、全身の巡りを整えることを目指します。その際、身体のバランスを「気・血・水(津液)」という概念で捉えて、治療方針をたてることがあります。 

 

ここで、「気・血・水」とは、

 

「気(氣)」は、形がなく働きだけあるもので、血や水を動かすもの。 

「血」は、身体を流れる赤い血。気を経脈に運び全身が働くようにするもの。

「水(津液)」は、血液の中にも含まれる液体部分、細胞間液やリンパ液

を意味しています。

そして、これら「気・血・水」のバランスがとれている状態を良好と考えます。  

 

子宮筋腫や子宮内膜症、月経痛、月経困難症などの場合、決して「血」だけの問題ではなくて、「気」や「水」の流れも関連していることも多いです。

 

 

今回は、血の流れを改善する生薬や、子宮不正出血、月経困難などに用いる漢方薬をご紹介してきたいと思います。

 

まずは「血」の流れについて、漢方の考え方を簡単にご紹介します。 

 

血虚と瘀血

 

血には、全身の組織に栄養分を与える働きがあります。 

 

血の働きに問題が生じたとき、漢方では「血虚(けっきょ)」や「瘀血(おけつ)」という概念でとらえます。

 

例えば、「血虚」は、血の量が不足して栄養が組織に届いていない状態。

 

「血虚」のとき、顔色が悪い、めまい、息切れ、動悸、貧血、全身倦怠感、月経不順などがあらわれます。

 

「瘀血」は、血が鬱滞している状態。 

 

「瘀血」のとき、目の下のクマ、顔のくすみ、顔色の赤み、吹き出もの、舌下静脈の怒張、皮膚や粘膜の紫斑点、青筋、青あざ、頭痛、冷えのぼせ、生理痛、生理不順、子宮筋腫、子宮内膜症などが生じやすくなります。  

 

また、脳梗塞、心筋梗塞も「瘀血」が関連していると考えます。一般的にドロドロ血といい表されることがあります。

 

血虚・瘀血の原因

 

血虚の原因は、脾胃の機能低下(消化力の低下、消化したものを全身に運ぶ力が落ちているなど)、出血、血液疾患など、血を産生する力の低下が考えられます。 

 

瘀血は、冷え、熱による炎症、出血、ストレス、疲労などで、血が流れる力不足により生じると考えられます。 

 

「血虚」も「瘀血」も、食生活やライフスタイルが大きく関わっていることがあります。

 

また、「血虚」は、広義の「瘀血」に含まれるともいえます(血の滞りのために血の不足が生じている)。  

 

 

では次に、瘀血を改善する効果をもつ生薬を3つご紹介します。

 

 

瘀血に用いる生薬①~牡丹皮(ボタンピ)~

 

牡丹皮(ボタンピ)は、お花がきれいな牡丹の根の皮です。

 

       

   201803 ボタン 自宅にて

 

根全体ではなく根の芯の部分をとって、根の皮のみを用います。根全体を用いてしまえば楽なのに、そういうところに手間をかけるところに昔の賢人の細やかさを感じます。 

 

牡丹皮のはたらき

 

荒木性次先生は、

 

「牡丹皮味辛寒、内の熱を散じ結滞を浄め消するの効あり」 

 

と記載されています。

 

また、浅田宗伯先生によると

 

「牡丹皮は、味辛寒、よく血分に走り、諸結を散ず

 

とされています。

 

牡丹皮は、

温経湯(うんけいとう)、

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、

加味逍遙散(かみしょうようさん)、

八味地黄丸(はちみじおうがん)、

六味地黄丸(ろくみじおうがん)

 

などに配合され、その働きを担っています。 

 

 

瘀血に用いる生薬②~桃仁(トウニン)~

 

桃仁(トウニン)は、桃の種です。

 

201206静岡県立大学にて

 

 

桃の種は、桃の果実(内果皮)を食べた後に残る堅いところ(核)の、さらに中にあります。アーモンドに似た形をしています。 

 

 

以前、食べ終わった核の中から「仁」を取り出したくて、まな板の上で金づちで叩いたことがあります。

 

…まな板が凹みましたが、核は割れませんでした💦

 

以前、講座を受講してくださった方にその話をしたら、やってみたことがあったらしく、道路で叩いたら割れて取り出せた、とおっしゃっていました(笑)

 

梅干しも同じような形で仁がありますね。

子供の頃、梅干しの核の中に仏様がいる、といって見せてもらったことがあります。

 

 

さて、桃仁は、古典には皮を去り、皮尖(ひせん)を去って用いるとあります。

 

皮尖とは、桃仁のてっぺんについているものです(下の写真の右端)

 

左から

皮つき→皮去り→半分に割ったもの→皮尖(ひせん)をとったもの。

 

一つ一つ皮尖を去るのに手間はかかりますが、そうするように古典に記載がありますので当店では地道に行っています。  

 

 

桃仁の働き

 

桃仁の働きについて、

 

荒木性次先生は

 

「血の燥きを潤し滞りを通じ結を解く、故に血證薬として廣く用ひらる。」

と記載されています。

 

浅田宗伯先生は

「桃仁は味苦平、能く血を破り燥きを潤す

といいます。

 

 

桃仁には駆瘀血作用があり、

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、

桃核承気湯(とうかくしょうきとう)、

大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)などに配合されています。

 

「仁」にはヌルっとした油性の性質があり、それが効能の「燥きを潤す」につながると思います。

 

 

瘀血に用いる生薬③~紅花(コウカ)~

 

紅花(コウカ)は、ベニバナの花弁です。

 

紅花は、訓読みだと「ベニバナ」ですが、漢方ではだいたい音読みなので「コウカ」といいます。昔の書物には「紅藍花(コウランカ)」と記載されています。

 

20190529 広島大学にて
 

夏にアザミに似た頭花をつけます。

 

原産はエジプト、エチオピアあたりで、日本には古い時代にインド、中国を経て渡来したようです。

 

紅花は、万葉集、古今和歌集に「末摘花(すえつむはな)」という名前で登場するそうです。 

 

「末摘花」というのは、収穫の際にベニバナの先端の花から摘み取ることにちなんでいるそうです。 

 

 



 

紅花の働き

 

紅花の働きについて

 

荒木性次先生は、

 

「紅藍花は味辛温よく血を行らし瘀滞を逐ふの効ありと謂はる。瘀血とは凝滞して流れず害をなす者。」

 

と記載されています。 

 

紅花は、通経、駆瘀血の働きがあります。生理痛、腹痛など婦人病に用いられます。

 

折衝飲(せっしょういん)という漢方薬に、牡丹皮や桃仁と共に配合されています。折衝飲は、月経不順や月経痛に用います。

 

古典の「金匱要略」には、薬局製剤ではありませんが、紅花のみを酒で煎じて用いる「紅藍花酒」が記載されています。

 

婦人六十二種風及腹中血氣刺痛紅藍花酒主之

 

(ご婦人の62種類の種々の頭痛、めまい、肩の張り、のぼせなどの諸症状や、腹中の刺されるような痛みに紅藍花酒を用いる) 

 

 

 

 

因みに、駆瘀血作用がある生薬に「サフラン」があります。 

よく「紅花はサフランですよね?」と言われることがあります。

混同しやすい生薬のようです。

 

紅花はキク科植物の花びらであるのに対し、サフランはアヤメ科の雌しべで、別物です。 

 

ただ、サフランは生薬名を「番紅花(ばんこうか)」といいますし、どちらも通経薬として婦人科疾患に用いられますので似ているのかもしれませんね。

 

余談ですがサフランは、紅花の50倍の価格といわれます。

それは、花弁と雌しべでは、採集できる量に大きな差があることからも納得できます。

 

 

瘀血を改善する漢方方剤

 

子宮筋腫や子宮内膜症などで瘀血が考えられる場合は、いわゆる駆瘀血薬、例えば桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、折衝飲(せっしょういん)などがよく用いられます。

 

冷えや気の巡りの悪さから生じていると考えられる場合は、例えば、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、逍遥散(しょうようさん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)、連珠飲(れんじゅいん)なども用いられます。温経湯(うんけいとう)や温清飲(うんせいいん)も候補になります。

 

その他、自律神経のバランスの乱れも絡んでいる場合はいわゆる柴胡剤(小柴胡湯、柴胡桂枝湯、柴胡桂枝乾姜湯、四逆散)、補中益気湯も用いることがありますし、胃腸虚弱や腹痛下痢を伴う場合は人参湯なども状態に応じて用います。

 

 

さいごに

 

 

生理痛、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫は、ご相談の多いお悩みです。 

 

身体の血の流れを整えるのは、いわゆる駆瘀血薬だけではなく、お一人お一人のお身体に何が必要か、全体のバランスを見ることが大切になります。 

 

 

患者さまによって、体質や環境も違います。また時間が経つと状況も変わっていきますので、できるだけその時の状態に合わせて服薬していただくことが肝要だと思います。

 

最後までお読みいただきましてありがとうございました✨

 

 
 
(参考文献:荒木性次著「新古方薬嚢」方術信和会、
      森由雄著「神農本草経解説」 源草社)
 
 
 
 
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【この記事の著者】若草漢方薬局 店主 吉田淳子 
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