漢方コラム
夏場の体調不良~冷房による冷え・風邪~
すっかり夏模様。
これだけ暑くなるとクーラーは必需です。
しかしながら、冷えを感じやすい女性には厳しいシーズンでもあります。
電車では頭上から冷気があたる…頭も肩もカチカチ…
銀行やスーパーでは、入った瞬間は気持ちいいけれど数分で冷えあがる…
長時間のデスクワークでは足先からコチコチ…
外と室内の温度差についていけない…
そんな方が多くいらっしゃいます。
冷房による不調のいろいろ
一言で冷えといっても、症状はさまざまです。
咽喉が痛くなる
すぐ風邪をひいてしまう
手足の末端が冷たくなる
頭痛がする
生理痛が悪化する
だるくて元気がでない
冷たいものを摂ることがやめられず胃が痛い・下痢をする
口の中につばがたまっている
集中力がかける
むくみがひどい…などなど。
漢方薬で早めに対処
体調がおかしいな、と思ったら合う漢方薬を「すぐに」飲むと悪化を防げます。
漢方の古典には以下のように記載されています(ざっくり意訳)。
凡人有疾不時即治隱忍冀差以成痼疾小兒女子益以滋甚時氣不和便當早言尋其邪由及在腠理以時治之罕有不愈者患人忍之數日乃説邪氣入藏則難可制此爲家有患備慮之要(傷寒論・傷寒例)
病気は早く治さないと治しにくくなる。特に女性や子供はそれが甚だしい。ガマンに我慢を重ねてやりきれなくなってからでは手遅れになってしまうから、そういうことのないように気をつけることが肝腎ですよ
凡作湯藥不可避晨夜覺病須臾即宜便治不等早晩則易愈矣若或差遲病即傳變雖欲除治必難爲力服藥不如方法縱意違師不須治之(傷寒論・傷寒例)
薬を作って飲むのに、朝早いからとか夜遅いからといって後回しにせず、なるべく早い方がよい、治療が遅れると治しにくくなる。気ままで飲みたがらない人は治しようがないですよ
私も、クーラーで冷えたり、風邪ひきそう😢と思ったら、
電車の中でもバッグから出して常備薬を飲みます。
また、夜お布団に入った後でも、先人の教えを思い出して
起きだして薬を飲んでから寝るようにしています。
本当に早めが大切です。特に夏風邪は治りにくいですしね。
冷え、風邪、夏の不調によく使われる漢方薬
クーラーにあたって風邪をひきそうなとき
症状に応じて、以下のような漢方薬がよく使われます。
桂枝湯
麦門冬湯
桔梗湯
駆風解毒湯
五苓散
人参湯
桂枝人参湯
当帰四逆加呉茱萸生姜湯
茯苓四逆湯
(薬局製剤以外も含まれています)
上記以外でも多くの漢方薬がありますが
汗をかきやすい夏や、生理中や出産後の女性で血をうしなっている方には
葛根湯や麻黄湯などの発汗力の強い薬は避けます。
また慢性の病の治療をしている方は、まずは急性の症状の治療を先決にして
慢性の漢方薬はお休みして治療します。
夏場の養生
体調が崩れにくくするためには、普段から力強い身体を維持することが大切。
もう一度養生を見直してみますと
冷たいものの飲食はほどほどに
クーラーの中でだらだら過ごさず、適度に身体を動かす
一日の終わりは湯船に浸かって冷えを解消
遅くとも24時(できれば22~23時)には眠りにつくよう就寝する
シンプルなことです。とはいえ、これがなかなかできないのですよね…。
是非、冷えや夏風邪に気を付けて、楽しく元気に夏を過ごしましょう!
【この記事の著者】若草漢方薬局店主 吉田淳子