日常コラム
【富山遠征レポート】薬用植物園での生きた学びと、落語から考える漢方の「見立て」
先日は臨時休業をいただき、漢方の学会へ出席するため富山へ行ってまいりました。お休みをいただき、誠にありがとうございました。
学会初日の午前中、私の第一の目的は「富山大学 薬用植物園」への訪問でした。 実に11年ぶりの訪問です。現在は一般にも広く開放されており、期待に胸を膨らませて園内へ向かいました。
(写真: 植物園入り口)
全国の薬用植物園には共通する植物も多いですが、場所や季節によって全く違う表情を見せてくれるのが生薬植物の面白さです。
今回、一番の収穫だったのは「王不留行(おうぶりょぎょう)」という生薬の原植物である「ドウカンソウ(道乾草)」との出会いでした。
普段勉強しているテキスト(新古方薬嚢)には必ず登場するものの、実物を見る機会は滅多にありません。
園のスタッフさんに「ドウカンソウが見たい」と伝えたところ、「これが気になるという方は初めてです!」と驚かれ、そこから専門の研究職員の方ともお話しする機会をいただきました。
(写真:ウスバサイシン)

(写真:ケイリンサイシン)
園内では、ケイリンサイシンとウスバサイシンの形状の細かな違い(ケイリンサイシンのほうが、葉の繋ぎ目がキュッと閉じています)をこの目で確認できたり、オウレンが3種類(キクバ、セリバ、コセリバ)とも揃っている様子を観察できたり……。
気がつけば研究者の方と2時間も漢方トークで話し込んでしまい、滞在時間はあっという間に3時間に(笑)。 暑さのなかでの移動でしたが、教科書だけでは得られない「生きた知識」に触れることができ、大満足のスタートとなりました。
また、学会では、「生薬の国内栽培(国産化)」に関する最新動向も得たい知識です。 当店でも生薬の流通や課題については高い関心を持っており、過去にもブログでその重要性をお伝えしています。
↓ 過去の生薬国産化に関するコラム
①生薬流通のこれまで:https://www.wakakusa-kanpou.com/archives/1735
②課題と解決:https://www.wakakusa-kanpou.com/archives/1747
③シンポジウムで心に響いたこと:
https://www.wakakusa-kanpou.com/archives/1750
今回はプログラムの都合上、最新の発表を聴講することは叶いませんでしたが、日本の漢方を守るためにも、生薬の国産化の動きについては今後もしっかりと注視し、皆さまにもお伝えしていきたいと思っています。
学会での刺激と、落語から学ぶ「見立て」の技術
夕刻からは学会会場へ。 この日は、同じ勉強会に所属する優秀な先生が、見事「最優秀演題」に選ばれるという嬉しいニュースがありました!
素晴らしい発表に大きな刺激をいただき、久しぶりの再会に立ち話も大いに盛り上がりました。 漢方の世界はどこまでも奥深く、こうした素晴らしい仲間たちと切磋琢磨できる環境に改めて感謝するばかりです。
また、今回の学会で特に印象深かったのが、落語家・立川志の輔師匠による特別講演でした。 「笑いと健康」のお話はもちろんですが、私にはもうひとつ大きな気づきがありました。
頭の中で噺(はなし)の情景を鮮明に想像しながら聴く「落語」のプロセスは、実は、漢方のカウンセリングで患者さまのお話を紐解きながら、お体の見立て(治療法)を深く考察していくプロセスと、どこか通じるものがあると感じています。
素晴らしい落語に触れ、知識だけでなく、漢方家としての「想像力」や「見立てる力」を磨くための、大変貴重な学びの時間となりました。
生薬の知識も、心の栄養もフル充電できた充実の3日間。 今回の遠征で得た生きた学びを、日々の薬局でのカウンセリングに活かし、皆さまの健康に還元してまいります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
TEL: 03-6206-9930

