漢方コラム
気候と身体
今年の3月から5月上旬くらいまで
日ごとに寒暖差があり、その影響を受けた方が多かったように感じます。
春は、芽吹きの季節で
私達も、暖かくなるにつれて体の内側にためていた陽気を
のびのびと外に向かって発散させていきます。
ところが今年のように、暖かくなったと思ったらまた寒い日が来ると
体表が閉じてしまいます。
冬の間に身体の中を温めていた気が外に伸びきれず
身体の中でこもってしまいます。
そのこもった陽気が発散されずに不調を感じます。
ある方は、こもった陽気が身体の表面から出きらずに
皮膚の発疹、ジンマシンとなり
ある方は、その陽気が胃腸にとどまってしまって
食欲不振、胃部不快感となり
ある方は、気が上がって頭痛、頭冒感を感じたり
またある方は、気鬱のように気が晴れず
またある方は、咽喉に異物感を感じたり
実際に痰がつまったり……。
4月20日から春の土用に入り季節の変わり目となり
5月5日に立夏となり季節は夏となりました。
気について
「気が滞る」というと、メンタル面を指すことが多いと思います。
しかしながら漢方で「気」は様々な場面で用います。
「気」は「はたらき」「エネルギー」でもありますので、
身体の表面で体を衛る「陽」の気が、しっかりと働いてくれることで
内にこもった熱を外に出してくれたり
適切な水分バランスで体を衛る「陰」の気が巡ることで
陰陽のバランスがとれて健やかな状態となれます。
対処には
胃に熱がこもる場合は、その辺りの熱をとる漢方薬を、
身体の表面が閉じてしまって気がつき上げることで頭重感や頭痛になる方には
気のつきあげを下げる生薬をイメージし、
その他の症状を勘案しながら処方を決定します。
その他の症状とは、例えば
汗の出る場所
お通じ
お小水
睡眠具合
痛む時期
どうしたら不調と感じるのか……
などなど、その他さまざまな状態をお伺いします。
そして全体的に把握することにより、どこがどのようになっているのかその根本を探ります。
漢方薬はさまざまな処方があります。
その時の症状に応じて
それまで飲んでいた漢方薬とちょっと似ているけれど、
一部の生薬が置き換わった処方で少しだけ方向性を変えて
今回の不調をケアする、ということもいたします。
「漢方薬って、ひだのように処方があるのですね」
患者さまから、そんな素敵な表現をいただきました。
さいごに
今日も暑くなりました。
湿気の季節もクーラーが入りますし
夏本番もクーラーは必需です。
暑さと冷えで体調管理がますます難しくなります。
ご一緒に乗り越えて参りましょう。
今回も最後までお読みいただきましてありがとうございました。
TEL: 03-6206-9930